反乱軍
「早百合ちゃんさあ、元は帝国軍の人間だったんでしょ?何であんな道端で転がってたの?」
「弟の仇を討とうとした。それを目撃されて追われる身になっただけですわ」
「帝国軍の人間が帝国軍の人間を殺す、ねえ。楽しそうだなあ俺も帝国軍入っておけばよかったかなあ。あ、やっぱいいや。厳しそうだし、俺なんてすぐ処分されそうだしね」
「・・・あなたはどうして私を助けたんです」
「最初はそのまま爆破しちゃおうかと思ったけどねー。ま、気まぐれかな。君から俺と同じにおいがしてね」
「どういう、ことですの」
「殺人を渇望してるにおいだ。君と一緒なら殺しが楽しくなりそうな気がしてね」
「私は無駄な殺生を好みません。飯原月音の命さえ奪えればそれで満足ですわ」
「飯原月音、ねえ。俺がそいつ爆破してあげようか?」
「余計な手を出したら私があなたを斬りますわよ」
「おお怖い怖い。やっぱり君は俺と同じだ。認めちゃいなよ。楽になるよ。ほら」
「私は命を救われた恩義があるからあなたと一緒にいるだけ。目的さえ果たせばすぐにでも出て行きますわ」
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姫宮姉弟は帝国軍に所属→平八が月音に撃たれる→早百合が月音を斬ろうとしたところを軍の人間に目撃される→追われて逃亡。飢えにより倒れる→大和に拾われる→反乱軍に入る
そんな流れ(長い)
平八は死んでません。早百合が去った後に意識を取り戻します。
軍医と女兵士
「気がつきました?」
「あなた・・・だれ?」
「名乗るほどの者ではありません。ただの、帝国軍直属の医者ですよ」
「ご大層な身分持ってるじゃない」
「医者と言っても、普段診てるのは動物ですけどね」
「じゃあ何で私なんかの手当てしてるの。私が動物だとでも?」
「倒れていたあなたに一目ぼれしたんです」
「冗談は嫌いよ」
「冗談ではないのですけどね・・・あなた、この国の人じゃないですよね?」
「ええ。元々は西の国の人間よ。この国に滅ぼされた、ね」
「それがどうして帝国軍の兵士に?」
「仕方のないことだったのよ・・・この国にいるはずの、生き別れの双子の兄を探すため」
「はずって・・・ずいぶんと曖昧ですね」
「この軍にいるかもしれない、反乱軍にいるかもしれない。もしかしたら・・・死んでるかもしれない」
「もしその兄上が反乱軍にいたら、戦うことになるかもしれませんよ?」
「そうかもね。でも・・・帝国軍にいる理由は、もうひとつあるから」
「何です?」
「母国の仇を討つため。私の家を焼き払った男を、葬るため」
「・・・それ、帝国軍の人間である僕に言ったらまずくないですか」
「まあ、そうね。上層部に言いたければ言っていいのよ」
「言いませんよ。むしろ、協力します」
「・・・あら、本当に?」
「惚れた弱みです。その男の特徴って、覚えてます?」
「ええ。・・・剣を腰に提げた、幼い少年だったわ。4年前の話だから、今は、そうね、あなたと同じくらいの年齢かしら」
「・・・・・・そう、ですか」
「彼は私に言った。『仕方のないことだった』って」
「・・・・・・」
「私は彼を撃った。右肩に銃創があるはずよ。それと・・・あなたに、どことなく似てるかもしれないわね。まああなたは軍医だから関係ないでしょうけど」
「・・・ええ」
「その男の情報が分かったら教えてちょうだい。私がこの手で敵を討つ」
「・・・分かりました。お任せください」
4年前、僕は兵士だった。
敵国である西の国の首都を、焼き討ちした。
そこで、僕と同じくらいの年の少女と出会った。
彼女は泣きながら僕に銃を向けた。
どうして私の家を焼いたの、許せない、と。
僕は、『仕方のないことだった』と答えるしかなかった。
だって。これは僕が望んでしたことじゃない。
軍の命令だったから、本当に、仕方なかったんだ。
僕のその言葉を聞いた少女は怒りに震え、僕を撃った。
間一髪で急所は避けたが、もう戦える身体ではなくなってしまった。
だから、僕は軍医として帝国に貢献するようになった。
・・・彼女の言う仇というのは、間違いなく、僕だ。
それを知ったら、彼女はまた僕に銃を向けるだろうか。
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帝国軍パロへいず。
ドロドロになった・・・(((((
まあ平八は元兵士で剣を振るってたけど怪我で引退して軍医やってますよって話。
あくまでマイ設定だからあまり気にしなくていいのよ(((
心中未遂
「目が覚めたか?坊ちゃん」
「梧先輩・・・あれ、僕、生きて・・・?」
「死ななかったのが奇跡なくらいの致命傷だったけどな」
「・・・動物たちは」
「大丈夫。殺されちゃいないさ」
「・・・よかった」
「だが、ひとつ悪い知らせがある」
「・・・?」
「姫宮早百合が失踪した」
「・・・!どう、して・・・!?」
「坊ちゃんの仇を討とうと飯原に剣を向けた。それを上層部に目撃されて逃走した」
「・・・僕の、せいで」
「坊ちゃんが悪いってわけじゃないさ。気になさんな・・・って言っても無理だろうけどな」
「・・・・・・」
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月音に撃たれた後の平八。
月音が平八撃っても処分されなかったのは事故だったからとかそんな感じ。動物庇って被弾したから。
早百合は私憤で月音に剣向けたから処罰受けそうになったんじゃね(アバウト乙)
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「平八・・・入るわよ」
「出雲さん・・・?顔色、悪いですよ」
「兄が見つかったの。反乱軍に所属していたわ」
「・・・!」
「別人のようだった・・・爆弾魔と呼ばれて、人殺しを楽しむような男になっていた・・・!」
「・・・どうして、そんなことに・・・?」
「多分、気が狂ったんだと思う。家を焼かれ、母国を滅ぼされ・・・私のように運良く誰かに拾われることもなく、放浪して・・・」
「・・・・・・」
「それと・・・失踪したあなたの姉、早百合さんが、兄と一緒にいたわ。飯原くんを探してた。あなたの仇を討つんだって」
「・・・・・・!」
「・・・ごめんね、こんな時にこんな話」
「いいんです。出雲さんだって辛いでしょう」
「・・・うん、辛い」
「死にたいですか」
「・・・正直、そんな気分」
「じゃあ、死ぬ前にあなたのもうひとつの望み、叶えてあげます」
「・・・!その、傷・・・!」
「4年前、僕は兵士でした。西の国の首都を焼き討ちした、軍に所属していました」
「・・・じゃあ、あなた、まさか」
「あなたの家を焼いたのは僕です。今まで黙っててごめんなさい」
「・・・・・・」
「そうです。撃ってください。これで母国の仇が討てますよ」
「・・・あんたのせいで平穏が崩された。兄が壊れた。許せるものじゃない」
「その罪を償う覚悟はできてます。さあ」
「・・・・・・」
「早くしてくださいよ。早くしないと僕があなたを撃ちますよ」
「撃てるの?あなたが、私を?」
「・・・ええ。あなたが死んだら、僕も後を追いますよ」
「・・・・・・」
「それが嫌だったらさっさと殺してください」
「・・・言われなくても」
「あなたに殺されるなら本望だ」
「・・・・・・」
「どうしました?憎いでしょう?僕が」
「あなたを殺して・・・何が変わるというの・・・」
「何を言います。ずっと望んでいたことでしょう」
「結局は憎しみの連鎖よ。ここであなたを撃ったら、今度は私が誰かに憎まれる」
「・・・まあ、そうでしょうね」
「それに、あなたは『仕方のないことだった』と言った」
「言いましたね」
「この軍に入って分かったわ。本当に仕方のないことだった。だからあなただけ撃っても意味がない」
「じゃあ何です、帝国軍の人間全員撃ちます?」
「そんなことしたら・・・私は、今の大和と同じになってしまう」
「・・・そうですね」
「それに・・・私は気付いていたのかもしれない。あなたが私の家を焼いた少年だということ」
「じゃあどうしてすぐに僕を殺さなかったんです」
「・・・あなたが、優しい人だって・・・気付いてしまったから」
「・・・・・・・」
「・・・僕は、ずっと憶えていましたよ・・・あなたのこと。あの時から、僕はあなたに恋していたのかもしれない」
「・・・・・・」
「どうします、これから。死にますか。それとも、生きて現実と向き合いますか」
「大和を・・・討つ。あのまま、あいつを放っておくわけにはいかない」
「・・・僕も、できる限りの手助けはしますから」
「・・・ありがとう」
「お礼を言われる立場じゃない・・・分かってるでしょう?」
「それでも、ありがとう」
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gdgdやぞ
単純に出雲さんに銃向けられる平八が書きたかっただけという(((
本当はこっこのカウントダウンでやろうとしたんだが、平八が浮気とか考えられないのと銃殺というのが東西南北的に有り得なかったから。
暗い・・・ぞ・・・
平八は最終的に死ぬのかもしれないなあ・・・死亡フラグびんびんやぞ・・・
まあ一度死にかけてもしぶとく生き残ってるから意外と死なないかもしれないけど(?)
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