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東西南北!とくすつば!の企画用ブログ兼個人的な創作置き場。
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    汚れた迷い人

    こばどんで書き溜めた中学時代平八の話。続き物。



    ---------------------------------------------




    女きょうだいに囲まれて暮らしていた所為だろうか。
    昔から僕はクラスの中の女の子のグループの中に混じっていて、同性の友達、それも親友と呼べる存在はいなかった。

    中学に入って、初めてそんな存在ができた。
    男同士でしかできないような話もした。
    楽しかった。

    でも。
    全部幻だった。

    「なあ姫宮、お前いいとこの坊ちゃんなんだろ?このくらい払うなんてどうってことねえよな?」
    「いや、僕の家は古いだけで裕福ってわけじゃ・・・」
    「あんなでかい家住んどいて何ほざいてんだよ。ほら、いいからお前が金払えよ!」
    「お酒と煙草なんて未成年が買える訳・・・」
    「別にバレたりしねえよ。ほれレジ詰まってんだから早くしろ!」
    「・・・僕、帰る」
    「おい、ちょっと待てよ!」

    そんなことがあった次の日、ロッカーの中がめちゃくちゃに荒らされていた。

    「またこんな目に遭いたくなけりゃ5万円持って来いよ」
    「・・・君が、やったの?友達だと思ってたのに」
    「俺はお前の金にしか興味ねーの!ほれ姫宮の坊ちゃんよ、早く金出せよ!」

    頭の中で。
    何かが、切れる音がした。

    気がついたら僕はそいつを殴ってて。
    担任の先生に止められた。

    こうなってしまえば、僕が「加害者」であいつが「被害者」。
    ロッカーを自分で荒らして「お前がやったんだろ」と因縁つけられて殴られた。
    あいつはそう言って、担任もそれを信じた。

    僕は何も言わなかった。
    否定するのすら面倒だった。

    それからだろうか。
    僕がひとりになったのは。






    学校にいるのが辛すぎて。
    だから、家が唯一の安息の地だと思っていたのに。

    ある日、父さんの部屋に呼ばれ。
    鏡内家の娘を、将来僕の嫁に迎えることになった、と。
    そんな話をされた。

    「許婚ってことですよね?僕に何の相談もなしに、勝手に決めたということですか」
    「鏡内家の夫人がお前のことを大変気に入ってな、娘はお前以外の者と結婚させない、と」
    「そんなこと言われても・・・鏡内家の娘さんなんて会ったこともないし、僕も彼女もいい迷惑でしょう」
    「お前は姫宮家の長男だ。今は納得いかないだろうが、鏡内の娘はよくできた娘だ。お前も気に入るだろう」
    「古いですよ。お家どうのとか、結婚がどうのとか。もう姫宮なんて何の力もないでしょう。そんなのに縛られて生きる気はさらさらないです」

    そうだ。
    確かに厳しく育てられてはきたけど。
    将来を勝手に決められたことなんてなかった。
    だから、家柄がどうであれ普通の家族なんだと、安心していたのに。

    どうして今更・・・

    「その婚約って取り消せないんですか」
    「それは無理だ。鏡内家は姫宮家より強い力を持っているからな」
    「・・・だからそういうのが古いって言ってるんだ!ふざけんな!」




    勢いで、家を飛び出した。

    ・・・ああ。何も持ってきてないや。
    でも、まあいいや。
    学校にも家にも、僕の居場所なんてない。

    お金もないし、力もないけど。
    どうにか頑張れば生きていけるだろう。

    どんなに惨めだろうが、僕の居場所は、僕が見つける。









    結局あの後、父さんや姉さんに連れ戻された。

    それから、家族との会話がなくなった。
    というより、話しかけられても一切応えなかった、というのが正しいだろうか。
    無視し続けているうちに、向こうからも話しかけて来なくなった。
    父さんも、姉さんも、禰々も。

    学校も家も居心地が悪い。
    それから、寝る時以外は家に帰らなくなった。
    学校にも行かなくなった。
    代わりに、フリーターだと身分を偽ってバイトを始めた。
    金さえあれば、家なんてなくてもどうにか生きていける。
    そう思ったから。

    バイトがない時は、繁華街をブラブラしていた。

    そこで。
    あの人に出会った。



    「ねえ君ひとり?それとも誰かと待ち合わせかな?」
    「ひとり・・・ですけど」
    「じゃあさ、おねーさんと遊ばない?」

    始まりは、軽いナンパ。
    彼女は、赤峰 泰子と名乗った。
    大学の1年らしい。
    僕より5つも年上だ。

    でも今の僕は無条件に「18歳のフリーター」だと偽っている。
    人より背が高いことが幸いして、あまり疑われない。

    泰子さんにも、そう自己紹介した。
    嘘で塗り固められたプロフィール。
    彼女は、それを疑うこともなく頷いた。

    それから普通に茶でもしに行くのかと思ったら。
    その行き先は、未知の世界で。

    僕は13歳にして、女を知ることになった。







    その後、僕らは携帯のアドレスを交換した。

    「いつでも連絡ちょうだい。また遊ぼうね」

    彼女は随分と軽い女のようで。
    日常的に不特定多数の男と寝ているという話も聞いた。
    それでも。それを知っても。
    僕は、そんな彼女と付き合うことにした。



    家に帰ったら、姉さんが怖い顔で待ち構えていた。

    「平八、最近学校に行ってないようですわね」

    久々に聞いた声が、これだった。
    面倒だけど・・・無視するわけにはいかないのだろう。

    「行ける訳ないでしょ・・・僕が暴行事件起こしたの知ってますよね?」
    「あなたが理由なく誰かに暴行を加えるなど考えられませんわ」
    「ただちょっとむしゃくしゃしただけですよ・・・色々ストレスも溜まってますしね」
    「それだけじゃ・・・あら・・・?」
    「何か」
    「首元・・・赤いの、何なんです?」

    ・・・首元の、赤いもの。
    それは紛れもなく・・・さっきの名残。

    「虫に刺されたのかしら・・・?お待ちなさい、今薬を」
    「違いますよ姉さん、分かりませんか?」
    「何ですの?」
    「僕・・・さっき、大学生のお姉さんと寝たんですよ」
    「・・・・・・!」

    信じられない、といった様子で、こちらを凝視する。
    それは、明らかな軽蔑の眼差し。

    「・・・嘘でしょ、だってまだあなた、中学生で」
    「繁華街でナンパされてラブホ連れて行かれて、そのままね」
    「・・・・・・っ!」

    乾いた音が響く。
    姉さんに、頬を叩かれたのだ。

    「・・・最低。いつからそんな堕落したの」
    「何とでも」
    「大嫌い・・・!」
    「別に姉さんに嫌われたって、なんとも思いませんから」
    「・・・あなたなんて、弟じゃないわ!」

    姉さんは、泣いていた。
    それからまた、姉さんとの会話がなくなった。

    家は妙に静かで、落ち着かない。
    ああ。
    どうして、こんなことになってしまったんだろう。



    -------------------------------------------------------------

    中学生時代の平八。くっらい・・・!
    突発的に絵版で描いたからなんともgdgdである

    あ、ちゃんと続きはありますよ。まだ書いてないけども((((
    中途半端はすっきりしないので早めに書き上げたいのである

    続き
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